当社の基本理念は「会社をいつまでも存続させること。」です。
　この理念は先代社長が「千慮不惑」という言葉で示したものであり、経営のすべての課題に千回も考え、実行すれば成功するという信念が込められています。
　当社は創業78年を迎え、もうすぐ80年の歴史を刻みます。初代が屋根の下屋根葺の親方として明治時代に始め、三代目が銅板拭きの屋根職人であったことから、職人技の伝統が根付いています。
　しかし、三代目の早世により家業が中断。戦後になり、新しく住宅や建築に携わる金属加工工場を始め、1963年には30坪の本所の工場から600坪の松戸の工業団地へと大きく成長しました。これは先代が大変な決断を下し、70年以上にわたり続く会社に発展した背景です。
　私は先代が創業した太田製作所の二代目社長として、会社の存続を考える中で、50年ほど前のドイツのシュツットガルト大学での留学経験が大きな影響を与えました。ドイツでは社長から社員までが週休二日制であり、長期休暇も当たり前の時代。これに対比して日本では仕事が最優先であり、働き詰めの状況が続いています。
　50年が経った今も、日本では社員が本当に幸せなのかという疑問が残ります。日本独自の働き方として、社員も経営者も同じ土俵で働き、仕事を通じて生きがいを感じる考え方を大切にし、皆が楽しみを感じる会社を目指しています。
　私は会社をいつまでも存続させることが、社員一人ひとりの幸せに直結すると信じています。これからの未来に向けた取り組みとして私が重点を置いている技術の継承において、マニュアル化というような目に見える形だけでなく、先代から引き継いだ”楽しむ心の継承”こそが重要であると考えています。
　楽しむことが技術の習得につながり、技術の向上は自己成長と共に、問題解決力や独自の視点を培います。この独自性が、私たちの会社を更なる高みに導く原動力となります。
　皆様と共に、成長し、喜びを分かち合い、未来への一歩を踏み出していくことを心より楽しみとしております。